「内山節(うちやま・たかし)」著、 「山里の釣りから」を読みなおす。 読みなおすのは実に二十数年ぶり。
本は、山村と都会の、 その関わりについての示唆に溢れている。 私のお気に入りの中の一冊。
「水」の供給源は「山」にある。 山々に降った雨水は地中に貯えられ、 それが徐々に滲みでて川となり、 水道水に加工されて都会に供給される。
その雨水を蓄えているのは、 山々に生えている木々であり、 その山々を営々と護ってきたのは、 山村に住む人々であった。
日本が高度経済成長を目指した頃、 その頃から山村の荒廃は始まった・・・。
山村荒廃の一番の原因は、 働き手の流出であったように思える。 中学を卒業したばかりの田舎の子どもたちを 「金の卵」ともて囃し、都会の企業は集団における就職を促した。 その賃金は呆れるほど低かった。 水だけではなく、山村は安い労働力の供給源でもあった。そうして、 都会は肥大してきたのだ。 山の保全は水の保全につながる。
山の保全には、 都会の人間の想像を絶する労働力が必要とされる。水は天からの恵み。 もともとは無料の水だが、 山の保全には莫大なコストがかかる。
しかし、山村は常に搾取の対象でしかなく、 都会はそのコストを山村に支払ってはこなかった。
山の崩壊は水の崩壊につながる。
●西田明夫氏のことー木馬マスター
オートマタの世界において国際的な作家。ミュンヘン・オーバーバイエルン「遊びの中の芸術展」、オーストリア「世界人形展」等。特にヨーロッパでは高い評価。 2009年に他界。